【尿路感染症シリーズ②】男性特有の「前立腺炎」〜膀胱炎とは真逆!じっくり確実なお薬の服用が必要な理由〜
皆様、こんにちは。医療法人岡本クリニックです。
尿路感染症(おしっこの通り道の感染症)について正しい知識をお届けする連載の第2回目です。
前回は女性に多い「膀胱炎」の短期治療についてお話ししましたが、今回は一転して、男性特有の病気である「前立腺炎(ぜんりつせんえん)」を取り上げます。
実はこの病気、前回の膀胱炎とは真逆で、「お薬を長め(数週間単位)にじっくり飲み続けること」が治療の鉄則になります。なぜそれほど時間がかかるのか、そして見逃してはいけない危険なサインについて解説します。
前立腺炎とは?「急性」と「慢性」の2つのタイプ
前立腺は、男性の膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲んでいる栗の実ほどの大きさの器官です。ここに細菌が入り込んだり、うっ血(血流が滞ること)したりして炎症が起きるのが前立腺炎です。
前立腺炎には、大きく分けて2つのタイプがあります。
急性細菌性前立腺炎(※超危険!即受診が必要):大腸菌などの細菌が原因で急激に発症します。「ガタガタと体が震えるほどの激しい悪寒(寒気)」を伴う38℃以上の高熱、排尿時の激しい痛み、尿が全く出なくなる(尿閉)などの強い症状が出ます。放置すると細菌が血液に乗って全身に回り、命に関わる「敗血症」を起こすこともあるため、絶対に放置してはいけません。
慢性前立腺炎(じわじわ続く):20代〜50代の比較的若い世代に多く、下腹部や足の付け根(会陰部)の鈍い痛みや違和感、残尿感、頻尿などが数ヶ月にわたってダラダラと続きます。
若い世代は要注意:クラミジアなどのSTI(性感染症)との関連
前立腺炎を引き起こす原因菌は、大腸菌などの一般的な細菌だけではありません。
特に20代〜30代の比較的若い世代の慢性前立腺炎においては、クラミジアなどのSTI(性感染症)が原因となっているケースが少なからず存在します。
最初はパートナーから感染した尿道炎(おしっこをするときに痛む、膿が出るなど)だったものが、適切な治療を受けなかったり、中途半端に放置したりすることで、菌が尿道の奥へと侵入し、前立腺まで到達して強い炎症を起こしてしまうのです。
STIが関係している場合は、ご自身だけでなくパートナーの方も一緒に治療(ピンポン感染の防止)をしないと、何度でも再発を繰り返すことになります。心当たりがある方は、恥ずかしがらずに専門医へお話しください。
なぜ前立腺炎は「じっくり治療」が必要なのか?
前回の膀胱炎は数日間の抗生剤でスッキリ治ることが多いとお伝えしました。しかし、前立腺炎はそうはいきません。
最大の理由は、「前立腺という器官は、お薬(抗生剤)が非常に届きにくい特殊な構造をしているから」です。
前立腺には血液からお薬が侵入するのを防ぐバリアのような仕組みがあるため、通常の量や期間では、芯まで薬を届かせることが困難です。そのため、当院では前立腺にしっかりと移行しやすい特殊な抗生剤を選択し、急性であれば約1〜2週間、慢性であれば症状や原因菌(クラミジアなど)に応じて数週間〜1ヶ月以上、じっくり腰を据えて内服を続けていただきます。
症状が少し軽くなったからといって、自己判断で数日で薬を止めてしまうのは絶対にNGです。
当院からのメッセージ
「ただの風邪だと思っていたら、急にガタガタ震えるほどの熱が出て尿が出なくなった」「下腹部の違和感がずっと続いている」といった症状は、前立腺からの危険サインかもしれません。
当院では、一般的な細菌検査だけでなく、性感染症のスクリーニングも含めて適切な診断と治療を行います。プライバシーには十分配慮しておりますので、気になる症状がある男性の皆様は、どうぞ我慢せずお気軽に当院へご相談ください。
お問い合わせ